丹波チーズ工房のBlog

大切なひととのおいしい時間を、丹波から

酪農家が改めて考えた、乳牛の種類と特徴🐄

 皆さん、こんばんは。

ジャージー牛を8頭飼っている酪農家の端くれです。

 

「乳牛の種類なんて知ってるよー」

「白黒の牛と、茶色い牛でしょ?」

 

なんて言葉が聞こえてきそうですが、

改めて私自身も考えてみましたので、

今回は乳牛の二大品種を現役酪農家である私の目線でご紹介します。

 

 

 

1.ホルスタイン種

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日本の乳牛の99%はこのホルスタインです。

 

日本でのメス牛の標準は体高141㎝、体重650㎏

年間乳量は7000㎏~10000㎏(←めっちゃ多いですこれ)

原産地はドイツの最北端の「ホルシュタイン地方」

 

 

ホルシュタインと聞くと、あの有名数学者の名前を思い出したので、

ググってみたら、やっぱりドイツ出身の方でした!やっぱり!(笑)

 

ホルスタインの特徴

①何といっても圧倒的な乳量です!!

 

後述するジャージー種の2~3倍は乳が出ます!

年間乳量20000㎏を超えるスーパーカウなんて牛もいます。

 

婦木農場では昭和初期から酪農を始めたのですが、

数年前まではずっとこの白黒のホルスタインでした。

我が家のような極小規模酪農家でも、毎日餌をやって糞をとって乳を搾れば、きちんと経営できていたようです。

今こうやって代々農業を続けられるのも、チーズづくりができるのも、ホルスタインの乳量のおかげかもしれません。ありがと〜(人''▽`)

 

 ②肉としての利用価値が非常に高い!

ホルスタインは体が大きいので、乳だけでなく、肉として利用されることも多いのです。

これはあまり知られていないかもしれませんが、

スーパーなどに並んでいる「国産牛」は、ほぼホルスタインの肉と考えて間違いはありません。

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乳牛はもちろんすべて「メス」です。

(酪農家の牛舎に来て「オスですか?メスですか?」の質問は禁句ですよ笑

ただ、生まれてくるホルスタイン子牛は、オスかメスかはわからない。*1

メスが生まれた場合は酪農家がそのまま育て、乳牛となりますが、

オスは乳牛にはなれないので、生後間もなく肥育牛農家に引き取られます。

いわゆる「ドナドナ」ですね。

これが酪農家にとっては、結構いい収入になったりするんです。

 

このオスは、大きくなったら、「国産牛」として皆さんの食卓に上がります。

加えて、乳牛に和牛の種を付けて生まれたハーフは、交雑種(F1と呼ばれます)として扱われ、これも国産牛として販売されています。

ちなみに、和牛は純粋な肉専用品種ですので、肥育牛農家さんによって育ち、サシが細かく入ったやわらかくて高級な和牛肉となります。

 

 

以上2点ををざっくりまとめると、

ホルスタインは乳も出るし、肉にもなるし、ちゃんとお金になるんです。

経営のことを考えれば、ホルスタインがこれだけ重宝されるのは当然のことでしょう。

これからも彼女らが、この酪農界を力強く引っ張っていってくれることでしょう!

 

2.ジャージー種

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日本では現在1万2000頭ほど飼われているようです。

 

日本のメス牛の標準の体高は130cm、体重400㎏

年間乳量は3000〜4000㎏(←ホルスタインと比べたら半分以下)

原産国はフランスが間近にせまるイギリス海峡の、その名もずばり「ジャージー島」

 

 

 

面積を調べてみると丹波市より全然狭くて、旧氷上町よりチョビッと大きいくらい

トレーニングウェアとして使う「ジャージ」という言葉も、

元はこの島の漁師さんの作業着の布地からきているそうです!

すごいですね、ジャージー島( ゚Д゚)////

 

ジャージーの特徴

乳成分(特に乳脂肪分)が非常に高い!

 

コチラの表をご覧ください↓

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一般的な牛乳の成分はこのようになっています。

 

そして、この成分品質を維持するためにも、

「乳質基準」という、一定以上の品質規格が決まっています

この基準を満たせない場合は、ペナルティとして、

生乳の取引価格が下げられたりして、売り上げが減ってしまうのです。*3

 

私たちの丹波地域では、

乳脂肪率は3.5%以上、無脂乳固形分は8.3%以上という基準があります。

 

ホルスタインの平均乳脂肪率は3.5%といわれているのですが、

実際のところ、夏場は牛の食欲も減るので、3.5%を下回ってしまうことも多いです。つまりペナルティです。

しかし、ジャージーの平均乳脂肪率は5%にもなります!

確か夏場でも、4%を下回ったことはなかったはずです。

 

実例として、婦木農場の先月(2月)の乳成分検査では、

乳脂肪率「5.17%」で、無脂肪固形分率は「9.37%」という結果が出ていました。どちらも基準より1%以上多いです。

乳固形分合計では14.54%と一般の牛乳成分(12.6%)を大きく超えた数字になります。

 

乳固形分が乳質基準をある程度超えると、

逆にご褒美として、生乳の取引価格が上がったりもします(´∀`*)ウフフ

 

ただ、経営的観点からみると、

たとえペナルティになってでも、ホルスタインを飼って、

乳量を搾ったほうが、実際の売り上げは大きくなります。ちょっと悲しいですが( ;∀;)

 

②ただただかわいい!!💖

 

まじめに特徴書けって?まぁまぁ~いいじゃないですか(笑)

これを見てくださいよ~

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子牛のつぶらなひとみ~( *´艸`)

 

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大きくなっても好奇心旺盛で、結構人懐っこいのです。

愛くるしいじゃないですか~~(*´ω`*)

 

作業してたら服をベロべロ舐められるので、

ちょっと困っちゃうこともありますが、それも愛嬌ってことで

ジャージー牛は小柄なので、大きなホルスタインに比べれば、

餌も少なくて済みますし、ケガや転倒などの事故も起こりにくいという特徴があるかもしれません。

そしてもっと大事なのは、かわいいはもちろん、

乳牛として希少性があり、ソフトクリームやバターなど、

自家加工するのであれば、ホルスタイン以上に大きな価値が出てくるのです。

岡山県の蒜山高原や熊本県の阿蘇は、ジャージー牛の里として全国的にも有名ですよね。

かつて私が研修させていただいた静岡県掛川市の柴田牧場さんも、ジャージー牛を飼い、自社で牛乳やソフトクリームなどを加工販売されています。

柴田牧場さんのホームページはこちら

商品ブランドの価値を大きくできると言えるかもしれません。

 

 

以上をざっくりまとめると、

ジャージーは乳成分が高く、希少性をうまく利用して牛乳の価値を大きくできるということが言えると思います。

 

 

改めて考えてみて…

長文となりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。少しでも牛や酪農のことを知って、感じていただければ幸いです。

ご質問あれば、お気軽にコメントお願いします。

 

改めて考えると、やっぱホルスタインすげえなと思いました。

それでも「なぜ婦木農場はジャージー牛を飼っているのか?」

については、またの機会にきっちりご説明したいなと思います。

 

畜産統計によると、日本だけで130万頭以上乳牛がいるようです。(31年2月現在)

100頭以上飼育する大規模酪農家が年々少しずつ増えているようで、私たちのような小規模酪農家は、高齢化も相まって、今後も加速的に減り続けるのでしょう、悲しいですが。

 

 

個人的には、今回紹介できなかったブラウンスイスという品種が気になっておりまして、一応最後におまけとして・・・

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ブラウンスイスはちょっとゴツイ顔をしているので、

個人的にはあまり可愛げがないな~という気持ちもあるのですが、

乳肉兼用品種らしく、ある程度お肉としての価値もあるなら、

経営的にもプラスになるかもしれないなと考えています。

ブラウンスイスちゃーん、うちにおいで~✋✋

 

 

*1:近年は乳牛に受精卵移植をして「黒毛和牛」を産ませたり、人工授精の時に「メスが生まれる精液(雌雄判別精液)」を付ける場合も多くあります。

*2:https://www.nyukyou.jp/dairy/index.php?rm=4&qa_id=468 より引用

*3:この基準やペナルティの細かい仕組みは、地域や取引メーカーさんなどによって違いはあります